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志和浩司/フォトグラファー、フォトリポーター

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驚異の乙女・宮原華音!必見!「ハイキック・エンジェルス」

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170センチの長身、小学2年から松濤館空手を学び5年生の時に「第7回全日本少年少女空手道選手権大会」(2007年8月、女子・組手部門)優勝。それでいて、美形かつキュート。6月14日公開の映画「ハイキック・エンジェルス」(監督:横山一洋、原案・脚本:西冬彦、配給:アマゾンラテルナ)に主演する18歳の宮原華音(みやはら・かのん)は、そんな驚異の乙女だ。

ブルース・リーやジャッキー・チェンにあこがれるアクション映画部の女子高生たちが、悪党たちに封鎖された廃校を舞台に壮絶なバトルを繰り広げる。映画部の少女には宮原はじめ、極真空手黒帯の川本まゆ、青野楓、”戦うバレリ-ナ”長島弘奈らが1年間にわたって稽古を積み、キャスティング。一方の悪党軍団も凄い。正道会館東京本部師範代にしてK-1ファイター、子安慎吾ら男優陣が迫力あるアクションを披露するほか、森下千里、那奈が妖艶な悪の華の存在感を見せる。「ハイキック・ガール!」を手がけたほか、「KG カラテガール」や「サルベージ・マイス」でもアクション監督を務めた西冬彦が原案・脚本を担当。これでアクションに抜かりがあるはずがない。スタントなし、全身あざだらけで稽古を積み撮影に臨んだ傷だらけのヒロイン、山波サクラ役の宮原に話を聞いた。

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映画は初出演にして初主演ということですね。

宮原 はい。実は「ハイキック・エンジェルス」を撮って1か月半後に「デスブログ」を撮ったんですけど、「デスブログ」のほうが先に公開されたんです(笑)。

小学2年から空手をやっていたそうですが、空手と映画でのアクションは違いましたか?

宮原 ぜんぜん違います。空手は、どれだけ相手にバレないように速く攻撃するか考えるんですけど、アクションは自分たちだけじゃなくて、見ている人たちがわかるようにやるんで、蹴り方とか角度も違い、最初はすごく苦労しました。

型がしっかりしているだけに、余計に苦労されるんでしょうね。

宮原 空手が抜けなくて(笑)。ブレちゃいけないと思っちゃうんですよ。避けるにしても、身体が固まったままだったんです。でも、アクションは違う。「危ない!」と思ったら体勢が崩れたりするじゃないですか。それがやっぱりなかなか形を崩せなくて、どうしても空手になっちゃって。

感覚的にアクションがつかめ始めたのって?

宮原 稽古の最後のほうですね。もうずっとずっと出来なくて、「声出せ!」って言われても出せなくて。「次はこうやったらこう避けて…」とかアクションの段取りを覚えているんですけど、実際にやるときには忘れる感覚が出てきて、「危ない!」と思えたり、「次どっちくるかな?」と自分の心の中で思えたり。お芝居がついてきたらアクションも乗れてきて。

すごいアクションですもんね。かなりあれ、当ててるでしょ。

宮原 ありがとうございます。私は(フルコンタクトではない)当てない空手をやってきたので、最初は練習で一発蹴られただけですごい痛くて、夏とかは両肩とか脚もあざだらけで(笑)。でも、慣れてくるとぜんぜん大丈夫で楽しくなってきました。自分も相手に当てて蹴るというのに慣れていなかったんですけど、それが出来るようになってきて、練習でどんどんやると、それが楽しくなってきた感じです。

今後も空手は続けますか?

宮原 はい、ずっとやっていきたくて。いま道場ですごく小さな子を教えたりしているんですけど、それが楽しいんですよ。自分が先生に強くしてもらったんで、今度は自分が強くした選手を世に出したいなと思っていて。

子どもを指導しているってことは、もう指導者ですもんね。

宮原 相手は幼稚園生なんで、出来たらほめてあげたり。ちっちゃい子、好きなんです。

幼稚園生って、言ってることわかってくれる?

宮原 わかります。でもすぐ、「まだやんのー?」「あと何回?」とか聞いてくるんですけど(笑)、あと10回だから頑張ろうって言うとすごい頑張ってて。

今回、共演者には他にも有段者がいますね。

宮原 空手にすごい自信があって、試合に出ても負ける気がしないとか思ってたのが、違う流派の人を見ると強かったり、ぜんぜん自分にないものを持っていて。スピードは自分のほうがあるかもしれないけど、力とか、強さとか、あとは感覚的なものですね。松濤館は当てちゃいけないので基本的に接近戦というものがないので、手が伸びる位置とかの間合いなんですね。でも極真って、近いじゃないですか。その距離だと「え!?」ってもうどうしていいかわからなくて。自分的にはすごい近くて怖い距離とかあったんですけど。西さんからも、「その距離じゃないとヒヤヒヤ感がない。見てる人が危ないと思えないとアクションじゃない」と言われて、そこは距離感とか大変でした。

子安さんはどうでした?

宮原 すごく強いんですけど、すごくやさしい方で。最初うまくいかないで泣いちゃったりしてたんですけど、「うまく出来てるから自信持ってやんな」とか、こっそり言ってくれるんですよ。でもやっぱり実際蹴ってもらったりするんですけど、立ってられないんですよ。ふらふらしちゃって、やっぱり全然違うんだなって。あと、正確で、毎回同じ位置に蹴りがきて、受けやすいように蹴りを入れてくれるし、アドバイスも的確ですごいいい方です。子安さんとの1対1のシーンがあったら良かったのになあって(笑)

映画のストーリー面ではどうですか?

宮原 役的には実際の自分とあまり変わらないんですけど、最初は役を作らなきゃってすごい思っててわからなくて。ずっと「山波サクラはお前だから、サクラはお前だから」ってずっと言われてたんですけど、実際違うじゃないですか、自分にとっては。ある日、好きなようにやっていいと言われて、好きなように変顔とかやってみたりしたら役に入れて、どんどん楽しくなっていって。自分の中で作ろうと思っちゃってるうちは出来なかったですね。やっているうちにすんなりサクラになれたなって。

サクラのように、ブルース・リーは好き?

宮原 「ハイキックガール!」(監督:西冬彦、主演:武田梨奈、2009年)が好きだったんで、他のアクションとか興味なかったんですけど、西さんにこれ観てって言われた作品をいろいろ見ているうちに、だんだん好きになりました。最初は、日本語じゃないし、「あんまり…?」って感じだったんですけど、いろいろな作品を見ているうちに面白くなってきて。スピードも比べ物にならないぐらい速くて、この映画でも当てていて、結構危ないことしていると思っているのに、それ以上のことをしていてすごいなって思いました。

撮影の苦心談を聞かせてください。

宮原 手のほうは、やりづらいとかはなかったんですけど、脚はいつも裸足でやっているのに映画では靴をはいて、雨の日は足元がぐちゃぐちゃだったり、違和感がありましたね。何回やっても成功していたワザが、木を蹴って、踏み外しちゃって。滑って奥までいっちゃって。それまでは練習で失敗したことがなかったんで、「怖いな」と思いました。

ケガは?

宮原 リハーサルの時に虫に刺されて両足が腫れてかゆくてしょうがなかったんですけど、撮影に入って中盤ぐらいで、内くるぶしを骨折して(笑)。最初は虫に刺されたところが、うっ血して紫色になっているんだと思って虫さされの薬をつけていたんですけど、皮膚科に行ったら、これは皮膚科じゃないって言われて。骨が折れていて(笑)。でもぜんぜん痛くなくて、撮影は普通に続けられたんです。立っている場面が一番痛くて。アクションをやってるとわからないんですよね。ケガしてることも忘れるぐらい。

演技面で一番苦労した場面を教えてください。

宮原 「Don’t think.FEEL!」というセリフがあって、稽古の時もずっとうまく言えなくて。

ブルース・リーの「燃えよドラゴン」に出てくる有名なセリフですね。

宮原 そのブルース・リーのことをサクラはすごく尊敬していて、尊敬した人のマネをするっていう…。ふざけてるんじゃなくて大好きだからこうなるんだ、みたいなこと言われたんですけど、わからなくて。横山監督もすごい好きなので、「こうだよ、こうだよ」って、すごいリクエストがあるんですけど、応えきれなくて。後ろを向いてて、みんなのほうを振り向いてそのセリフを言うんですけど、ちょうどその、「考えるな、感じろ」っていう文字を見て言うんですよ。それを、ずっと見てたら言えなくなっちゃって。そこで一回引っ掛かっちゃって、そのひと言なんですけど。みんなが知ってる言葉じゃないですか。どんどん言えなくなっちゃって。

ふだん空手の稽古をしていて、日常気をつけていることはありますか。

宮原 空手のときは空手の華音で、学校のときの華音は学校の華音なんです。道着を着てスイッチ入るタイプなんで、あんまり気をつけていることというのはないですね。ただ、最近はストレッチだけは欠かさずやっています。いままであまりやらなかったんで、そうするとケガしたり肉離れにつながっちゃうんですよね。

まわりの友達は応援してくれていますか?

宮原 みんなすごい楽しみにしてくれてて、「ハイキック・エンジェルス!」って言いながら足上げたり、写真送られてきたりとか。学校の友達が2人試写会に来てくれたんですけど、すっごい面白かったって言ってくれて、それをみんなにも言ってくれてるんで、早く見たいって言ってくれて。みんな楽しみにしてくれています。

練習の期間は長かったんでしょう?

宮原 長い人は一年、週5時間ぐらいの稽古を週3~4回やっていましたね。空手を朝9時から夜までやったことはあったんですけど、アクションはまた違うし、自分の苦手な部分でもあったんで、そこは体力的にもきつかったんですけど、一人でやってることじゃなくて、川本まゆちゃんとか楓ちゃんもやってることなんで、出来たというか、負けられないなって。部活の合宿みたいでした。一年とか一緒に稽古して、稽古期間はそんなに仲良くなるとかなかったんですよ。入れ違いだったり、それぞれのアクションを稽古したり。芝居を合わせても、そんなに仲良くなるわけではないので。最初はちょっと話すぐらいかなと思ったんですけど、撮影現場に入ってからは2週間ずっとほぼ毎日同じ時間を過ごしたので、ずっと合宿みたいな感じですごく仲良くなりました。

以前、三愛水着キャンペーンガールでしたね。空手の体型とプロポーションは両立出来ないでしょ?

宮原 一般応募して、空手の身体でやってました。すごく迷惑をかけました(笑)。空手中心の生活だったんで太っちゃったりとか。食べてないとやってけなくて。撮影のときは間食抜こうぐらいしか出来なくて、水着になってからいつも後悔してました。

制服でのアクションはどうでしたか?

宮原 女子高生でアクション好きな子の役だったんで、ぜんぜん空手モードにならず、空手とは違う自分でスイッチが入りましたね。

宮原さん推薦の見どころを教えてください。

宮原 空手とか格闘技やってる人も絶対楽しめるし、アクション好きな人もそうじゃない人も、どういう人でも楽しめるし、小学生が見てもわかりやすい面白い映画になっています。みんなに楽しんでもらえるかなって思います。

最後に、これからの抱負を。

宮原 武田梨奈さんと競演できるようになりたいですね。武田さんのように、代わりのいない人。あんなに細くて可愛くて瓦を頭で割るのは武田梨奈さんしかいないし、そういう自分にしか出来ないものを持ってる人になりたいです。

 

宮原華音は、まっすぐだ。話している間、けっして目をそらさない。それはそのまま、空手にも、モデルや女優の仕事にも、つながっている。

「ハイキック・エンジェルス」は、宮原が言う通り、わかりやすく面白い。実にシンプルだ。世の中、インターネット時代になって、さまざまな価値観があふれている。何が正しくて何が悪いのか、判然としない。すべて、それぞれの価値観だから、という言葉でオブラートにくるまれてしまう。それはそれでいい面もあるのだろうが、温故知新という部分では、けっして忘れてはならないこともある。「ハイキック・エンジェルス」には、それがある。正しいことのためにまっすぐに戦う、そんな爽快感がほとばしっている映画だ。

この時代だからこそ、一人でも多くの人に観て欲しい。押忍!

 

6月14日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷・横浜ブルク13他、全国順次公開

ニコニコ動画でも同時ロードショー(全国どこからでもPCやスマホで鑑賞可能)

主題歌:「TOUGH BOY(~TOUGH GIRL)」たんこぶちん 6月4日リリース

■オフィシャルサイトhttp://highkick-angels.com/

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