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芸能記者(ペン&カメラ) 志和浩司

恵比寿のカフェで素敵なひととき 「文藝のフュージョン」

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20130914_ironbank

グルメ記事のタイトルみたいになってしまったが。

恵比寿という街。東京の山手線の人気エリアにありながら、ガチャガチャうるさくもなく、かと言って静かすぎることもない、親しみやすい街。プラス、なにげにマニアックな街。数年前まで「ミスタークラフト」というマニア心そそられるホビーショップがあったが、どういうわけか飲食店などもこだわりを持った店が多いように感じるのだ。土地柄だろうか。

「文藝のフュージョン」(作・演出:井上テテ)は、そんな恵比寿の街にあるカフェ「Fugeez(フージーズ)」で9月のあいだ毎週末に上演される。私が出かけたのは14日の土曜日、16:00からの公演。エレベーターのない雑居ビルの4F、1ドリンク付き2000円のチケット代(当日券は2500円)を払ってこじんまりした店内に足を踏み入れると、カウンターを前に椅子が並べられていて、開演の時刻までには客で満員になった。満員といっても、せいぜい30人ちょっとか。

少し照明が落ちると、カウンターの向こう側でさっきドリンクチケットをコーラに引き換えてくれたカフェの店員がなぜかフロアに出てきて、キャストを呼び込んだ。店員もキャストだったのだ。

「文藝のフュージョン」は、まさにカフェが舞台。音楽雑誌の命運をかけ、大ヒット作曲家のインタビューを、とあるカフェにて試みる女性編集者たちだが、肝心の作曲家の怒りを買ってしまい取材を拒否られる。急場しのぎにベストセラー小説家のインタビューに切り替えるのだが、大問題が。誰一人として、その小説家の作品を読んでいなかったのだ。なんとかインタビュー開始までに作品を読んだふりをしなければ!…というほぼ絶望的なシチュエーションから繰り広げられるコメディ。

ひとくせある作曲家を川島広輝、前述のカフェ店員を山口卓真、雑誌の女性編集者を辺見のり子、辺見を慕う後輩社員に優希彩(ニコンのWebCMに出演→http://www.nikon-image.com/sp/s6600/smp/)、宇塚彩子、その従姉妹で作家のアシスタントをしている女性役が中野亜紀(レゲエシンガーmetisのPVに出演→http://youtu.be/6C52URTCj68)、作家役は日替わりで私が観た公演では美咲が演じた。

まだ上演期間中であり、ネタバレになるようなことは書けないが、とにかく面白い。観客ふくめ丸ごと劇空間と化したカフェが持つ強大な場の力に、演者の力量と集中力、脚本と演出の力が負けていない。気持ちいいぐらいに良かった。あくまで面白いし、楽しいし、あざとくお涙頂戴という展開は何もないのだが、なぜか途中、泣けてしまった。その場にいることがあまりにも幸せに感じられ、楽しさの絶頂でジーンと来てしまったのだ。優れたコメディは、泣かせてくれる。

千秋楽を除いては、まだチケットに余裕があるとか。上演時間一時間弱のコンパクトなお話だが、久しぶりにチケット代以上の金額を払いたくなってしまった。観ないと損をする。そう自信を持って言える好舞台だ。

【公式サイト】

http://www.ironbank.info/

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